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郡司 智; 荒木 祥平; 須山 賢也
Nuclear Science and Engineering, 197(8), p.2017 - 2029, 2023/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)東京電力福島第一原子力発電所の事故で発生した燃料デブリには、非均質な組成だけでなく、不均一な組成も予想される。同様に原子炉容器内に残っている損傷した燃料集合体も一部の燃料棒が欠損しているため組成が不均一になっている。これらの不均一性は中性子増倍率の変化を引き起こす可能性がある。このような不均一性が中性子増倍率に及ぼす影響を計算により明らかにして、臨界管理に用いる計算の実験的検証の可能性を検討する。本研究では、日本原子力研究開発機構の新臨界集合体STACYにおいて、ウラン酸化物燃料棒,コンクリート棒,ステンレス鋼棒を不均一に配置した複数の炉心構成の臨界効果を調べ、ベンチマーク化の可能性を確認した。これらの配置の違いによって、中性子増倍率は1$以上変化し、局所的な中性子減速条件の変化と特定の部材のクラスター化がこの効果をもたらすことを確認した。さらに不均一配置のベンチマーク実験炉心の実現可能性も評価した。このような実験のベンチマークデータ化を実現できれば、計算コードの妥当性の検証、計算コードの検証、及び機械学習による臨界管理手法の開発に役立つと考えられる。
吉川 龍志; 今井 康友*; 菊地 紀宏; 田中 正暁; Gerschenfeld, A.*
Proceedings of 30th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE30) (Internet), 10 Pages, 2023/05
ナトリウム冷却高速炉安全性強化研究では、自然循環による崩壊熱除去時の炉心安全性を評価するために低流量条件下における燃料集合体内熱流動特性の解明が重要である。そこで集合体詳細熱流動解析コードSPIRALが開発されている。本研究では、SPIRALの妥当性を確認するために、集合体外側からの冷却を伴う混合対流及び自然対流条件下の91本ピンバンドルナトリウム実験の再現解析を実施した。SPIRALによる予測された温度分布はナトリウム実験で測定された温度と一致した。以上によって、集合体外側からの冷却を伴う混合対流及び自然対流条件下での大型燃料集合体体系におけるSPIRALの妥当性を確認した。
堂田 哲広; 上羽 智之; 大釜 和也; 吉村 一夫; 根本 俊行*; 田中 正暁; 山野 秀将
日本機械学会関東支部第29期総会・講演会講演論文集(インターネット), 5 Pages, 2023/03
ナトリウム冷却高速炉の炉心変形による反応度をより現実的に評価するため、炉物理、熱流動、構造力学の連成解析による炉心変形反応度評価手法を開発した。本評価手法では、燃料集合体の湾曲を有限要素法のビーム要素でモデル化し、集合体ラッパ管のパッド部での隣接集合体間の接触をパッド部専用の要素でモデル化した解析手法を採用した。その検証として、過去に実施されたベンチマーク問題の集合体単体の自由熱湾曲及び炉心体系での集合体熱湾曲による隣接集合体間接触について計算し、本解析モデルによる解析結果が理論解またはベンチマークに参加した他機関の解析結果とよく一致することを確認した。この結果から、本解析モデルが集合体の熱湾曲を適切に計算できることを確認した。
檜山 智之; 相澤 康介; 西村 正弘; 栗原 成計
JAEA-Research 2021-009, 29 Pages, 2021/11
ナトリウム冷却高速炉では、実用化に向けて燃料の高燃焼度化が求められている。高燃焼度の燃料集合体はスウェリングや熱的な燃料棒の変形によって局所的に除熱能力が低下することが懸念され、燃料集合体での冷却材流動挙動を予測評価することが重要である。本研究では、現象解明および熱流動解析コード検証用のデータベース構築を目的として、3本ピンバンドル体系の試験体を用いた流動場計測試験を実施した。現象解明の着眼点は、以下の(1)ワイヤスペーサ近傍を含めたサブチャンネル内の全体流況、(2)層流領域を含むレイノルズ数と流動場の関係、(3)ワイヤスペーサの有無が流動場に与える影響評価である。試験の結果、PIV計測によりサブチャンネル内の詳細な流動場データを取得し、3本ピンに囲まれたセンターサブチャンネルにワイヤスペーサが交差する際に隣のサブチャンネルへ逃げる流れとワイヤスペーサの巻き方向に対して追従する流れが生じることが分かった。層流領域のレイノルズ数条件では流速分布の傾向が遷移領域および乱流領域と大きく異なることを確認した。ワイヤスペーサのない体系と比較すると、層流領域においてもワイヤスペーサによるミキシングが生じていることを確認した。
菊地 紀宏; 今井 康友*; 吉川 龍志; 堂田 哲広; 田中 正暁
Proceedings of 28th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE 28) (Internet), 8 Pages, 2021/08
原子力機構では先進ナトリウム冷却高速炉の設計研究において、安全性向上のためにFAIDUSと呼ばれる内部ダクトを有する燃料集合体の採用を検討している。内部ダクトによって燃料棒の配置が非対称となるため、FAIDUSの成立性を確認するために温度分布を推定する必要がある。モックアップ試験によるFAIDUS内の熱流動に関するリファレンスデータはまだ取得されておらず、サブチャンネル解析コードASFREによる計算結果の妥当性確認は不十分であった。そこで、CFDコードSPIRALの計算結果とコード間比較を実施した。ASFREとSPIRALによる計算結果の間に内部ダクト周辺に現れる特徴的な温度及び速度分布のメカニズムの整合性を確認することによって、ASFREの適用性が示された。
荒木 祥平; 郡司 智; 外池 幸太郎; 小林 冬実; 井澤 一彦; 小川 和彦
Proceedings of European Research Reactor Conference 2020 (RRFM 2020) (Internet), 7 Pages, 2020/10
原子力機構では、定常臨界実験装置STACYを更新することにより、ウラン燃料棒と軽水減速材で炉心を構成する新たな臨界実験装置を整備している。ウラン燃料棒はロシアのNCCP社で製造された。更新後、最初の実験キャンペーンとして、燃料デブリ模擬臨界実験を予定しており、そこで得られる実験データは、福島第一原子力発電所燃料デブリ取出しに係る臨界解析手法の検証に用いられる。STACY更新炉は汎用の臨界実験装置であり、軽水炉の炉心・燃料設計の高度化、臨界安全評価・管理の高度化、基礎的な炉物理研究、人材育成など、広い用途に供される。
吉川 龍志; 今井 康友*; 菊地 紀宏; 田中 正暁; Gerschenfeld, A.*
Proceedings of Joint International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications + Monte Carlo 2020 (SNA + MC 2020), p.73 - 80, 2020/10
有限要素法による流体解析コードSPIRALについて、乱流モデルとして層流から乱流領域まで伝熱流動特性を良好に再現できるHybrid型k-eモデルを採用した場合の低流量条件下における大型燃料集合体ナトリウム試験(GR91試験)の再現解析を実施し、高速炉燃料集合体への妥当性を確認した。解析の結果、流速に関して発熱上端付近において浮力の影響によって集合体中心領域が高流速となる結果が得られ、温度に関して試験計測温度との比較では解析は試験の傾向を良好に再現することを示した。以上によって、SPIRALコードの低流量条件下における集合体熱流動評価への適用性を確認した。
太田 宏一*; 大釜 和也; 山野 秀将
Proceedings of International Nuclear Fuel Cycle Conference / Light Water Reactor Fuel Performance Conference (Global/Top Fuel 2019) (USB Flash Drive), p.30 - 39, 2019/09
A detailed core-bowing analysis code, ARKAS_cellule, has been developed. The detailed shell model applied to ARKAS_cellule was verified with a conventional beam model for the IAEA benchmark problems. As a result, ARKAS_cellule was properly verified for the thermal bowing analysis of the core. In addition, it was confirmed that ARKAS_cellule simulates the change in duct stiffness with the contact conditions.
深谷 裕司; 中川 繁昭; 後藤 実; 石塚 悦男; 川上 悟; 上坂 貴洋; 守田 圭介; 佐野 忠史*
KURNS Progress Report 2018, P. 148, 2019/08
日本原子力研究開発機構は高温ガス炉の核設計予測手法の高度化を目的とした研究開発を始めた。商用高温ガス炉初号基のためのフルスケールモックアップ試験を回避できる可能性がある一般化バイアス因子法の導入と高温ガス炉体系への炉雑音解析の導入を目的とする。そのために、B7/4"G2/8"p8EUNU+3/8"p38EU(1)と名付けた黒鉛減速体系炉心を京都大学臨界実験装置KUCAのB架台に新たに構築した。この炉心は一般化バイアス因子法を用いるための参照炉心としての役割を果たし、この炉心では、炉雑音解析手法開発に必要な炉雑音の測定も行っている。それに加え、HTTR運転員の保安教育も行った。
菊地 紀宏; 堂田 哲広; 橋本 昭彦*; 吉川 龍志; 田中 正暁; 大島 宏之
第23回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集(USB Flash Drive), 5 Pages, 2018/06
高速炉の安全性強化の観点から、循環ポンプ等の動的機器を必要としない自然循環冷却が期待されている。自然循環時の炉心流量は定格運転時の2から3%程度となり、隣接する燃料集合体間の径方向熱移行や浮力による炉心内流量再配分が、炉心全体及び燃料集合体内の温度分布に与える影響が相対的に強くなる。自然循環時の燃料集合体内温度分布評価では、この燃料集合間熱移行の考慮が重要となる。本研究では、燃料集合体内熱流動解析と連成させた炉心全体の熱流動解析評価手法整備の前段階として、低流量かつ径方向熱移行量が大きい条件での燃料集合体内熱流動に対するサブチャンネル解析コードASFREの妥当性確認を目的に、隣接集合体間の径方向熱移行が発生する条件で実施されたナトリウム試験を対象とした試験解析を実施した。計測結果との比較により、これまで集合体単体を対象に整備を進めてきたASFREの既存物理モデルである、圧力損失を評価するDistributed Resistance Model及び集合体内の乱流混合を評価するTodreas-Turi Modelの径方向熱移行現象評価への適用性及び解析結果の妥当性確認を行った。
菊地 紀宏; 今井 康友*; 吉川 龍志; 田中 正暁; 大島 宏之
日本機械学会関東支部茨城講演会2017講演論文集(CD-ROM), 4 Pages, 2017/08
ナトリウム冷却高速炉システムの安全性強化に係る概念構築の一環として、シビアアクシデント時に炉心が溶融する遷移過程において早期に溶融燃料を炉心部から排出し、炉心部での再臨界を排除するため、燃料集合体内に内部ダクトを有する燃料集合体(FAIDUS)の採用を検討している。この内部ダクトの存在により冷却材の偏流や温度分布の非対称性が生じることが懸念されることから、原子力機構で開発してきた高速炉燃料集合体内熱流動解析コードSPIRALを用い、FAIDUS内の熱流動特性を詳細に確認することとした。先進型ナトリウム冷却大型高速炉の定格条件(暫定条件)を境界条件とするFAIDUSの熱流動解析を実施した結果、従来の正六角管型集合体の熱流動特性と同様な傾向を示し、特異な温度分布を示さないことを確認した。
高橋 佳之*; 堀 順一*; 佐野 忠史*; 八木 貴宏*; 八島 浩*; Pyeon, C. H.*; 中村 詔司; 原田 秀郎
Proceedings of International Conference on the Physics of Reactors; Unifying Theory and Experiments in the 21st Century (PHYSOR 2016) (USB Flash Drive), p.645 - 652, 2016/05
放射性毒性の低減のために、マイナーアクチニド(MA)及び長寿命核分裂生成核種(LLFP)の革新的原子炉を用いた核変換の実用化研究が精力的に進められてきている。革新的な原子炉システムを設計するためには、正確な核データが必要である。そこで、精度の高い核データの整備のために、マイナーアクチニドの中性子核データの高精度化研究を行うAIMACプロジェクトが始められている。本プロジェクトの一環として、京都大学原子炉実験所の電子線形加速器(KURRI-LINAC)や臨界集合体(KUCA)における可変中性子場を用いて、マイナーアクチニドの核データ(積分データ)を測定する。Np, Am,そしてAm核種について、本研究で得られる積分データを、別途、TOF測定で得られた微分断面積データと比較検討を行うことで、核データの検証を行う。本論文では、Npの中性子捕獲反応の反応率の測定結果を報告する。
菊地 紀宏; 大島 宏之; 今井 康友*; 檜山 智之; 西村 正弘; 田中 正暁
日本機械学会関東支部茨城講演会2015講演論文集, p.179 - 180, 2015/08
ナトリウム冷却型高速炉の経済性向上策の一つとして燃料の高燃焼度化が挙げられるが、その実現にはスエリング等による燃料ピン変形状態および変形時の燃料集合体内の熱流動現象を詳細に評価する必要がある。原子力機構では、燃料集合体熱流動詳細解析コードSPIRALを整備し、種々の検証解析を実施し、コード適用性を確認してきた。本報では、燃料ピン周りの詳細な速度分布が得られている3本ピン水試験を対象に試験解析を実施し、集合体内の速度場を精度よく再現できることを確認した。これにより、燃料集合体内ギャップ部における流れ場に対し、SPIRALに組み込まれたHybrid型乱流モデルが高い適用性を持つことを示した。
ホット試験室
JAERI-Review 2005-047, 95 Pages, 2005/09
本報告書は、平成16年度及び平成17年度上期予定のホット試験室の活動について燃料試験施設,WASTEF及びホットラボの3施設の運転管理とそれぞれの施設で進めた技術開発についてまとめたものである。燃料試験施設では、東京電力・福島第2発電所1号機で5サイクル照射されたBWR燃料集合体の燃料棒非破壊試験,55GWd/t先行照射燃料の燃料棒破壊試験及び核燃料サイクル開発機構からの照射用ガドリニア燃料集合体の再組立作業を実施した。また、「むつ」使用済燃料集合体については、再組立作業及び照射後試験を継続,実施した。WASTEFでは、原子炉構造材料の高圧水中複合環境下低歪速度試験,再処理施設用新材料等の腐食試験,廃棄物処分におけるバリア性能評価試験,TRU窒化物等の物性試験を実施した。また、高経年化対策にかかわる調査研究業務として、関西電力美浜3号機2次系破損配管を受け入れて、外観及び内面観察等を実施した。新たな試験機器として原子炉構造材の照射脆化調査のため、オージェ電子分光分析装置を設置した。ホットラボでは、廃止措置計画に基づき、前年度に引き続きセミホットセル1基及びジュニアセル14基の解体・撤去作業を実施した。また、ホットラボを未照射核燃料物質保管管理施設として利用する決定を受けて、使用開始に向けた準備を進めた。
高瀬 和之; 小瀬 裕男*; 吉田 啓之; 秋本 肇; 青木 尊之*
第24回日本シミュレーション学会大会発表論文集, p.161 - 164, 2005/07
著者らは二相流計算に特有の実験式や構成式を極力用いないで原子炉内の水や蒸気の挙動を正確に予測する解析手法の開発を行っている。本報では、革新的水冷却炉に用いられる稠密燃料集合体内の複雑な水-蒸気系二相流挙動を、地球シミュレータ等のスパコンを利用した大規模3次元シミュレーションによって予測評価し、狭隘流路を流れる気泡の流動に及ぼす流路壁の影響や燃料棒表面を流れる液膜に及ぼすスペーサの影響などを定量的に明らかにした。今研究によって、大規模シミュレーションを主体とした炉心熱設計手法の開発に対して高い見通しを得ることができた。
ホット試験室
JAERI-Review 2005-003, 105 Pages, 2005/02
本報告書は、平成15年度のホット試験室の活動について燃料試験施設,WASTEF及びホットラボの3施設の運転管理とそれぞれの施設で進めた技術開発についてまとめたものである。燃料試験施設では、東京電力・福島第2発電所1号機で5サイクル照射されたBWR燃料集合体の受入及び集合体試験,55GWd/t先行照射燃料の燃料棒非破壊試験及び核燃料サイクル開発機構からの照射用ガドリニア燃料集合体の材料強度試験等を実施した。また、「むつ」使用済燃料集合体については、再組立作業及び照射後試験を継続,実施した。WASTEFでは、原子炉構造材料の高圧水中複合環境下低歪速度試験,再処理施設用新材料等の腐食試験,廃棄物処分におけるバリア性能評価試験,TRU窒化物等の物性試験を実施した。また、TRU窒化物燃料の熱物性測定にかかわる気密ボックス型の熱拡散率測定装置及び比熱容量測定装置を新たに整備した。ホットラボでは、廃止措置計画に基づき、小型鉛セル3基の解体・撤去作業を実施するとともに、材料研究室内の透過型電子顕微鏡等をWASTEFに移設した。
高瀬 和之; 吉田 啓之; 小瀬 裕男*
ハイパフォーマンスコンピューティングと計算科学シンポジウム(HPCS 2005)論文集, P. 16, 2005/01
燃料集合体内の二相流解析には従来から二流体モデルが使われているが、二流体モデルはすでに特性が解明されている範囲での平均的かつ巨視的な現象に対してのみ有効であり、気液二相流を特徴づける非定常な界面構造を予測する機構論的な解析法とは言い難い。そこで、著者らは地球シミュレータ等のスパコンを利用して相変化や流動遷移などの複雑な過渡現象を含む二相流挙動を直接的に解析する手法の開発を行っている。本報では、革新的水冷却炉を例として行った検証解析結果について述べる。稠密に配置された燃料棒間の流路形状を簡略模擬した体系で大規模二相流解析を行い、(1)微細な気泡は下流へと移行しながら合体し、次第に成長する,(2)合体により気液界面が大きく変形し、それに伴って気泡周囲に複雑な速度場が形成される等の3次元的な気泡流のダイナミクスを再現できた。予測結果の傾向はモデル実験結果とよく一致しており、大規模シミュレーションを主体とした炉心熱設計の実現に大きな見通しを得た。
小瀬 裕男*; 高瀬 和之; 吉田 啓之; 叶野 琢磨; 秋本 肇
第18回数値流体力学シンポジウム講演要旨集(CD-ROM), 6 Pages, 2004/12
原子炉における冷却材の複雑な伝熱現象や相変化を含む混相流挙動に関する物理的メカニズムの詳細を数値的に解明し、また、原子炉燃料集合体をフルサイズで模擬した体系下で熱流動挙動の詳細を計算機上に再現することを目的として、地球シミュレータ等を利用した大規模シミュレーション技術の開発を行っている。本報は、技術開発の一環として行った将来型水冷却炉内二相流挙動の3次元予測結果について述べる。本提案の解析手法によって、狭隘流路を有する将来型水冷却炉の燃料集合体内の3次元水-蒸気分布の詳細を数値予測できる見通しを得た。また、気液界面の二相流構造,気泡の合体・分裂メカニズムに関して有益な知見を得た。
高瀬 和之; 吉田 啓之; 小瀬 裕男*
第23回日本シミュレーション学会大会発表論文集, p.121 - 124, 2004/06
革新的水冷却炉の稠密燃料集合体内二相流挙動を大規模計算によって予測する研究を行っている。今回の解析では、燃料集合体入口の流速,ボイド率等を種々に変えて行い、複数燃料棒まわりの液膜流挙動に関して、次のような定量評価が得られた。燃料棒の外周は薄厚の液膜で覆われ、その外側を蒸気が流れる。燃料棒間隔が狭い場所では、隣り合う燃料棒が液膜によって接続される架橋現象が見られる。また、蒸気は燃料棒三角ピッチ配列の中心部をストリーク状に鉛直方向に流れる。この領域は狭隘部に比べて摩擦抵抗が低いため、蒸気は流れ易いからである。さらに、一連の解析結果は、実験結果の傾向とよく一致することがわかった。
小瀬 裕男*; 高瀬 和之; 吉田 啓之; 叶野 琢磨; 呉田 昌俊; 秋本 肇
第41回日本伝熱シンポジウム講演論文集, 2 Pages, 2004/05
原研が開発を進めている低減速軽水炉を対象として、稠密燃料集合体内の二相流挙動を直接解析によって予測する研究を、地球シミュレータによる大規模シミュレーションによって行っている。本研究では、熱の影響がない非加熱等温流条件に対して、低減速軽水炉の炉心条件をもとに燃料集合体入口の流速やボイド率を変えて一連の解析を実施し、次の傾向の予測に成功した。(1)燃料棒表面が薄厚の液膜で覆われる,(2)燃料棒間隔が狭い領域で液膜の架橋現象が起こる,(3)蒸気は燃料棒間隔が広い三角ピッチ中心部をストリーク状に流れる。